アドバイス
保護者さんが 良い保育園を選ぶための 7つのアドバイス 文責:理事長 新田隆幸
保育園だから当然子ども第一に考えているだろうと思いやすいが必ずしもそうとも言えない。認可保育園は社会福祉法人立がほとんどではあるが、最近は待機児童解消策として書類さえ整っていれば認可されてしまう。保育士も法定人数がいれば保育の内容は問われない。そのため、残念であるが理事長や園長らの不正流用などの犯罪が社会問題になる。そのしわ寄せとして働く保育士たちの給与や待遇が悪く、不満が子どもたちの処遇に出てしまう。その日をケガ無く無事に過ごせばいいという、保育でない保育がまかり通る。このような保育は「託児」であり、決して保育ではない。その見極めが重要です。このことに関しては順次書いていきます。親への過度ないたわりや子育てサービスなどで親心をくすぐるようなリップサービスにも注意が必要です。親の願いや思いを先取りしたような習い事や○○教室などの知育が売りのところは避けるべきです。知育は早いほどいいというのは根拠がありません。今はその前段階の時期なのです。保育は親のために存在するのではありません。幼児教育(保育)は子どもがその後を生きる力の基礎を培うためのものです。親心を満足させるものではありません。子どもの将来を子どもにゆだねて信じてあげてください。
まず保育士たちの表情と対応に目を向けていただきたい。職員の誰もが明るく元気な笑顔と挨拶があるか、子どもたちが伸び伸びと元気か。(やんちゃができるか)喜んで登園してきているか。(玄関先でグズッたり、部屋でぼーっとしていないかなど)を観察してみてください。
「認可保育園だから」安心なのではないことも念頭に入れておくこと。
「子どもを第一に・・・」といっても、基準は一人ひとり異なりその範囲も広範囲に及びます。ですから一口に「ここはいい保育園」「ここは並みの保育園」などと分けることはできないでしょう。選ぶ保護者の考えや好みや希望もありますので、難しいところです。そのことを踏まえてのアドバイスです。選ぶのはあくまでも保護者自身です。ですが、ちょっとの時間立ち止まって考えていただきたいのです。それはどこを選んでも自由ではありますが、そこでの保育を受けて成長していくのは子ども自身だということです。乳児期の育ちや経験は大したことはないだろうと考えているなら、改めるべきです。この時期に体験する出来事や感じたり発想したりする体験はこれからの歩みにおいて大きな影響を持つからです。“思い出が経験だ”とも言われます。楽しかった思い出か、辛くて思い出すのも嫌だというものか、天地ほどの違いがあるのです。楽しかった思い出は生きる力になりますが、思い出すのも辛い思い出は自信を失わせ、自己肯定感を引き下げます。
ですから保育園選びは、かなり慎重でなければなりません。建物のきれいさや大きさ、定員の多さなどは関係ありません。一般的に、たくさんの人たちに選ばれ利用されているから、いい保育園だろうと考えてしまいやすいのですが、絶対とは言えませんが比例はしません。逆の場合もあります。質や内容を保つのは組織が大きくなればなるほど、人数が増えれば増えるほど難しいのは誰が考えても当然のことです。その経営者や指導者が職員や園児全員に関して把握できる適正な人数、大きさが大事です。障害児・者施設、児童施設、老人施設など福祉施設はグループ施設化して少人数化してきています。その方が目が行き届き、極め細かい指導や援助ができるからです。当然としての方向性だといえます。しかし、同じ児童福祉施設でも保育園は相変わらず大舎制へ突き進んでいます。それらの点から見ても遅れている福祉分野といっても過言ではないと思います。このことは「子ども第一」という点からも考えていただきたいのです。
それぞれの保育園には、設立における法人または園の理念や保育の方針などがあると思います。それらを確認することはとても大事だと思います。中には中身のない抽象的な耳障りの良い言葉を並べたに過ぎない目標を掲げてあったりのところもあります。「子どもを預かってもらえればいい」などと簡単に考えないでください。子どもにとって保育の内容や目指している目標などは、これから歩長い人生の基礎ともいえる人生のベースとなる重要なものなのです。だからといって到達の難しい目標や厳しいものがいいというわけではありません。耐え難い保育内容で子どもにとって魅力も楽しさもないものなら問題外です。惑わされないでください。「子どもの将来に役立つ内容や目標です」といわれても、それは大人の発想や理想であるなら一歩引いてください。明確に答えてくれない保育園、あるいは保育士でしたら「ない」と思ってください。日々の保育の中でそれらは実践されていないのでしょう。
一回の見学だけで全てを確認することや突っ込んだ質問をすることは難しいことです。帰ってからパンフレットやしおり等を見ながら振り返って、疑問になったこと、聞き漏らしたことなどを整理し、もう一回見学して確認しましょう。出来るなら両親ご一緒に行き、互いの意見や感想を述べあって客観的に判断しましょう。
国では待機児童の解消のための受け皿として、数年で400か所の保育施設を、などと言っていますが、かなり難しい課題を含んでいます。それはそれらに対応するための保育士の確保です。今はどこでも保育士不足で定員割れでありながら入所できないという状態です。肝心の部分へは何の策もなく、建物だけをうんぬんするのは夢を語ることと同じといわねばなりません。建物はお金さえ出せばできるが有資格者の働き人はそう簡単には集まりません。
国の最低基準では、0歳児3人に対し保育士1人、1・2歳児は6人に対し1人です。3歳児は20人に1人の保育士です。4・5歳児は30人に対して1人の保育士です。もちろん最低と言っていますから以上であればいいのですが、経営者はいくらでも人件費を減らしたいため、最低基準で運営している保育園も少なくはありません。この辺のところをしっかり確認しましょう。動かない0歳児なら3人を担当するのも可能かもしれませんが、月齢差の大きい乳児は1対1でも大変です。また保育士の話が理解できるまで5歳児であっても30人に1人ではとても長続きはしません。市内の小学校でも35人に2人の教師が配置されています。きめ細やかな配慮を求めるなら、このような点を改革しなければ保育士の現場離れはますます続くでしょう。担当保育士の人数が十分配置されている保育園を選びたいものです。
最近は「働き方改革」が様々な形で浸透し長く務める体制も徐々に整っています。しかし、中には毎年退職者がおり、新入社員の職員もいる職場は珍しくない昨今の保育園事情です。かといって数年で離職しなければならない職場環境は決して褒められたことではありません。経営者の経営手腕が疑われます。大きな園で正職は数名で後は臨時職員という話も聞いたことがあります。経営方針だそうですが、働く者にとって意欲がわくでしょうか。しかも数年契約だというのですから、子どもの育ちをどう考えているのでしょうか。保育経験の積み重ねがない保育園ということになり、職員の意欲も熱意もない保育園といえましょう。経営としてはいいのかもしれませんが、ここに子どもを託す親は不安はないでしょうか。単に「見てもらう」だけしか期待していないのでしょうか。職員が長く務めておられ、ベテランとしての力を存分に発揮している保育園を探しましょう。若い保育士は元気で子どもたちにも人気がありますが、子どものちょっとした変化や反応への配慮や気遣いがまだ未熟です。子どもは「今」だけでなく、長いスパンで見ていかなければ後で困ることになります。また親への助言なども経験豊かなベテラン保育士だと安心です。
各年代でバランスの取れた保育士らがいることは、子育てのヒントや悩み事など、未解決を抱える親には心強い味方です。その中に「子育て中」の保育士がいると、「ママ友」の一人として悩みや子どもの成長など不安や心配事を共有でき気持ちも軽くなると思います。また何より子育てをしながらでも働ける職場環境ということの証明で、働く親への理解があるということにもつながります。
保育士だから子育てが上手と考える方々も多いですが、経験から言わせていただければそれは逆です。保育士の経験が子育てに役立つことは多くありません。しかし、子育てが保育に役立つことは多くあります。そしてそれらの情報がすべての保育士らが共有できている保育園なら言うこと無しです。それが出来ている環境というのは職員同士が仲がいいことで証明されます。始めに書いたみんなが笑顔で明るい保育園は間違いなくいい保育をしています。そして一人ひとり自信を持っています。若い保育士の表情が暗かったり、元気がなくオドオドしているような園はアウトですね。上司や体制に不満を抱えているのが明らかです。そのツケは弱い子どもに向きます。他の条件が満足できても避けるべきです。
保育園を訪問するときは、自由遊びの時間を選ぶことがいいと思います。そして玄関に立って耳を澄ませてみてください。誰の声が聞こえますか?。子どもたちですか、保育士さんですか。それとも園長と思わしき人の声ですか?。
保育園は子どもの施設です。ですから賑やかな子どもの声が大きく聞こえてきて当たり前です。それが何かを制する保育士の声が鳴り響いているなら大きな間違いです。残念な保育園です。保育士と園児との信頼関係が築かれていない保育園ということです。子どもは信頼する大人の言うことはちゃんと聞きます。好きだし尊敬しているからです。その関係が出来てこそ、保育ができるのです。教育現場で学級崩壊などという言葉もありますが、子どもに問題があるのではありません。子どもたちがこれまでの幼児教育機関で培ってきた尊敬できる大人像と担任があまりにもかけ離れているため、従えない行動として勝手な行動へと突き動かされた結果なのです。子どもたちは幼稚園・保育園でこのような態度や考えを学んでいくのです。これらのことも念頭に置いて保育園選びをしてほしいと願います。
「保育園選びのアドバイス」は一応ここで終わりますが、質問や詳細についてお聞きになりたい方はどうぞご連絡や見学にいらしてください。お待ちしております。
よい 保育施設の選び方 10か条
❶まずは情報収集を
市区町村の担当課でいろいろ相談を
❷事前に見学を
決める前に必ず見学をしよう
❸見た目だけで決めないで
建物の外観や保育料だけで決めない
❹部屋の中まで入って見て
見学は子どもたちがいる保育室まで入らせてもらう
❺子どもたちの様子を見て
表情がいきいきしているか
❻保育する人の様子を見て
保育者に経験豊かな人がいるか
笑顔で子どもたちに接しているか
❼施設の様子を見て
十分な広さか、日当たりは、外遊びをしているか
陽あたりや風通し、清潔か 避難経路はどうなっているか
❽保育の方針を聞いて
保育の考え方や内容について
どんな給食か、連絡帳などがあるか
❾預けはじめてからもチェックを
毎日預け迎えのときに心掛けて
❿不満や疑問は率直に
すぐ相談を。誠実に対応してくれるか